公開日 2010.04.05

グループ法人税制と連結納税制度の比較検討のポイント

第1回 グループ法人税制と連結納税制度の比較検討のポイント

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税理士  畑中 孝介

TKCシステム・コンサルタント 税理士 畑中 孝介

平成22年度税制改正においてグループ法人税制が創設されました。そこで、皆さんが気になる制度の概要や連結納税制度との相違点、比較検討のポイントなどを全10回にわたって連載いたします。

2010年4月5日掲載

 今回は、「グループ法人税制と連結納税制度の比較検討のポイント」です。

 グループ法人税制は連結納税制度を含む概念になっています。このままグループ税制を適用したほうが有利なのか? それとも連結納税制度を採用したほうが有利なのかのポイントを整理します。

 まず、比較のポイントとしては3つの視点を持ちましょう。

  1. タックスメリット・・・税金面でのメリット・税額がどれだけ減少するか=キャッシュフローとしてグループ内に留保されるか
  2. ブックメリット(税効果のメリット)・・・帳簿上のメリット・タックスメリットのほかに、税効果においてどれだけのメリットがあるか?
  3. マネジメントメリット・・・グループ全体の情報を集め、スケジュール等を確認することを通じ、子会社の情報が親会社に集約化される。集約化された情報を使って、グループ全体の税務面での最適化を図ることができるようになる。

 通常はタックスメリットのみで判断されるケースが多いかと思われますが、ブックメリット・マネジメントメリットも意外に大きな影響がありますので、そのあたりにも注意して検討してみましょう(ブックメリットは第8回でマネジメントメリットについては第10回において詳述します)。

 では、具体的に両制度の違いについて述べます。

 今回の連結納税制度の改正で、下記の点も含め大半の点についてはグループ法人税制と連結納税制度が統一化されました。

  1. 譲渡損益調整資産(グループ内の資産譲渡損益の繰延)
  2. 連結法人間の寄附金(全額益金不算入・全額損金不算入)
  3. 受取配当等の全額益金不算入

 では、違う部分についてですが大きく分けると次の点になります。

 まず1点目は、グループ法人税制については、あくまでも単体ベースの申告で、そこにグループの要素を加えて申告しますが、連結納税制度の場合にはグループ全体を一つの納税主体としますので、全体で一つの申告(連結申告)をすることが大きな違いです。

 2点目は、グループ法人税制については強制適用ですが、連結納税制度の場合には任意適用(事前申請が必要)という点です。

 3点目は、連結納税制度における子会社の繰越欠損金および資産の時価評価になります。

  • 5年以上長期100%保有法人
  • 当初から完全子法人として設立した法人等
  • 適格株式交換による完全子法人 など

 以上の法人については、子法人の欠損金については、子法人の所得の範囲内で欠損金が使用可能となります (グループ法人税制・単体課税の場合と同じ) 。また、資産の時価評価も不要となります。しかし、5年以内に買収した法人などは対象外となりますので連結納税採用の場合には、欠損金使用不可とか税負担の増加の可能性があります。

 最後に、ここが大きなポイントになりますが、グループ納税の場合には所得通算ができませんが、連結納税制度の場合には所得通算ができます。また、それに伴い

  • 税額控除(試験研究費・外国税額控除)
  • グループ外寄附金

 についても連結全体での計算となりますので、各法人ごとに税額控除限度額を計算し、超過分については繰り越し、もしくは切り捨てとなっておりましたが、グループ全体での計算の場合には、救済される部分が発生することがあります。特に、試験研究や寄附金が特定の法人に集中している場合などは、多額のメリットが出る可能性がありますので注意が必要です。

 上記がポイントの整理になります。ここからは推測になりますが

  1. グループ全社が黒字または赤字の場合・・・所得通算メリットなし。
  2. 5年以内に買収した会社がある。

 これらを除くと、大概のグループで連結納税制度が有利になるのではないかと思います。

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TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 畑中 孝介

税理士 畑中 孝介(はたなか たかゆき)

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 幹事
  企業グループ税務システム普及部会会員
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員

略歴
ビジネス・ブレイン税理士事務所所長、株式会社ビジネス・ブレイン代表取締役CEO
大手・上場企業の連結納税コンサルティング業務や組織再編アドバイザー業務を行う。上場企業から中小企業・ベンチャー企業・ファンドまで幅広い企業の税務会計顧問業務に従事。TKC企業グループ税務システムの専門委員、中堅・大企業支援研究会幹事等に就任。
著書等
  • 『消費税インボイス制度の実務対応』(TKC出版)
  • 『令和4年度 すぐわかるよくわかる 税制改正のポイント』(TKC出版)
  • 『企業グループの税務戦略-グループ法人税制・連結納税制度の戦略的活用-』(TKC出版)
  • 『CFOのためのサブスクリプション・ビジネスの実務対応』(中央経済社)
  • 「旬刊・経理情報」「税務弘報」などにも執筆
システム・コンサルティング事例
ホームページURL
ビジネス・ブレイン税理士事務所

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